音楽 の今昔
最近の音楽は……と、嘆いている方に進言です。確かに、昔の音楽に慣れている人にとっては、今の音楽は「音楽」とは思えないこともあるでしょう。しかし、音楽が時代と共に変化しているのは、私たちの脳が求めるものが、時代により変わってきているからです。どれほど音楽シーンは変わったのでしょう。今と昔で比べてみました。
▼目次
1.音楽の変化
2.予定調和
3.ノルウェーの森
4.人生は短くない
1.音楽の変化
「昔に比べて、最近の音楽は」
そう思われている方は多いことでしょう。実際、今と昔の音楽は大きく構造が変わっています。
2.予定調和
いわゆる日本の歌謡曲や演歌は、どこか予定調和的です。聞いていて心地よく、整った音楽です。一方、近年の音楽はどこか不安定で、不調和の要素が盛り込まれています。そうした曲が流行する原因は「現代人の脳が変化と刺激を求めているから」とのことですが、いずれにせよ、最近は自然なリズムの音楽は少ないようです。
3.ノルウェーの森
しかし、昔の音楽の方が良かったと思う理由はそれだけでしょうか。村上春樹の「ノルウェーの森」で、主人公の友人・永沢は自分の読書観についてこう語ります。
「時の洗礼を受けていないものを読んで時間を無駄にしたくない。人生は短い」
要するに”時が経ても人の記憶に残る本は名作”と言っているのですが、実は音楽も同じで、人々の記憶に残っている音楽は名曲です。つまり、多くの方は巷に溢れている最近の音楽全般と、昔の名曲のみを比較してこう言っているのです。
「昔の音楽は良かった」
・・・・・・少し酷ですよね。
4.人生は短くない
ところで、永沢が名作しか読まない理由は「人生は短い」からです。しかし、あれから約半世紀。平均寿命は十年以上伸び、もはや人生は短くありません。時の洗礼を受けていない音楽にも触れる時間は十分あります。
昨年、パンピーという若者が加山雄三の名曲「お嫁においでよ」を大胆に編曲し、それが若者の間で大流行。加山雄三も絶賛しています。
お嫁においで2015/加山雄三feat.PUNPEE
いかがでしょう。若大将も新しい音楽に挑戦しています。彼に続いて、この秋は最近の音楽を聴いてみませんか。
この記事を動画で深掘り
コンパス視聴覚室「音楽の今昔」
音楽は太古の昔から存在しましたが、現存する世界最古の音楽とはどんなものなのでしょう。また、クラッシック音楽はどのように変遷し、ポピュラー音楽はいつ、どのようにして誕生したのでしょう。
関連
長野県には9つの泉質があります。その9つの泉質を知って、もっと信州の温泉を楽しみませんか?湯につかり、心を満たす。 泉質 を知り、体を癒す。これは、信州の温泉をさらに楽しむ大人のための「泉質辞典」。...
安い豆腐と高い豆腐は、本当に同じ豆腐なのでしょうか。全国豆腐連合会の評議員で、洞沢豆富店の代表の洞澤さん聞いてみると、驚きの答えが返ってきました。これを読めば、豆腐の値段に差がある理由がわかります。...
超難問【YouTube】クイズチャンネル 「頭の体育館」
イージーな問題から、超難問まで。子供から、大人、ご年配の方まで。あらゆる難易度・問題のタイプでであなたの挑戦を待ち受けるYouTubeチャンネル。それが、コンパス「頭の体育館」。
漢字が得意な人。
間違いにすぐ気づける人。
なぞなぞが得意な人。
ひっかけ問題に強い人。
挑戦をお待ちしております。
https://youtube.com/channel/UCKfR7XP-NDisX2xlRmkOHRA
おまけ
文字で楽しむ 動画「音楽の今昔」
現存している世界最古の楽譜は、今から3400年ほど前、古代メソポタミア時代に楔形文字で書かれた粘土板の楽譜です。考古学者によれば、当時の儀式用の讃美歌だったそうですが、この曲はyoutubeにて視聴できます。私の教養のない耳には、昔のファミコン音楽にしか聞こえませんでしたが、いずれにせよ、「3400 世界最古の音楽」と検索すれば簡単に見つけられます。
ぜひ3400年前の讃美歌メロディー、視聴してみてください。
もう一つ。
「セイキロスの墓碑銘」と言われる楽譜も、世界最古の音楽として有名です。こちらは先ほど紹介した楽譜と違って、完全な形で残っている世界最古の楽譜です。紀元前2世紀から紀元1世紀ごろのものと言われていますが、墓石には歌詞が刻まれていて、その歌詞の行間に古代ギリシアの音符による旋律の指示が残されています。
これもyoutubeで聴くことができます。「セイキロス」で検索すれば出てくるので是非視聴してみてください。
そして、こちらは歌詞も翻訳されているのですが、その内容は本当にポエティックです。読み上げますね。
>>>>
生きている間は輝いていてください
思い悩んだりは決してしないでください
人生はほんの束の間ですから
そして時間は奪っていくものですから
>>>
これが、2000年前からのメッセージです。なんだか感慨深くないですか。
特に、ラストの
時間は奪っていくものですから。
本当にそうですよね。時間は次々色んなものを奪っていきます。これをどんな人が書いたのか、私としてはとても気になるところなんですが、いずれにせよ、これが現存している世界最古の音楽です。
>>>>
さて、こうやって形を成し始めた音楽ですが、5世紀頃から15世紀中頃にかけては、キリスト教会を中心に音楽が発達していきます。そして、15世紀から16世紀にはルネサンス期を迎えます。
ルネサンスは「再生」を意味します。ですから、ルネサンス音楽は古代の音楽を復興した音楽、という意味に捉える人がいますが、それは間違いです。ルネサンス音楽は、ルネサンス期に対応する音楽、という意味です。
バロック音楽はその次の時代、およそ17世紀初頭から18世紀半ばまでの音楽の総称です。バロックとは「形の悪い真珠」という意味なのですが、これはのちの古典派たちが、このころの芸術を指してそう呼んだことがきっかけです。この頃はルネサンスの芸術と比べて自由な表現をするようになったから、そが粗悪に見えたんでしょう。ただ、このバロック音楽は20世紀になると見直され、現在世界中で愛されています。私が大好きな、バッハのG線上のアリアもこの頃の音楽です。
そして、先ほど申し上げた通り、18世紀中頃からはバロック音楽を否定する流れが主流となり、古典派音楽の時代を迎えます。代表的な音楽家には、運命や第九などを作曲したヴェートーヴェンがいますね。
その後はショパンやビゼーが活躍したロマン派音楽、チャイコフスキーなどで有名な国民楽派が誕生し、近代・現代音楽に至ります。
これがクラシック音楽のざっくりとした歴史ですが、一方、ポピュラー音楽はどのように発展していったのでしょう。
ポピュラー音楽とは、一言で言えば大衆音楽です。アメリカを中心に世界的な広がりを見せた、近代的・商業的音楽を意味します。
この大衆音楽が大きく転換するきっかけとなったのは、労働力としてアフリカから多くの黒人が強制的に連れてこられたことにあります。そして、ブルースはそんな黒人たちの悲しみや怒りを自由に歌う中で誕生しました。
さらに、そんなブルースの影響を強く受け、1947年、リズムアンドブルース、いわゆるR&Bが誕生します。それまでは黒人音楽は、レイスミュージュイックと呼ぶのが一般的でした。しかし1947年、そんな風に呼ぶのは時代遅れだ、ということで、ビルボード誌がリズムアンドブルースを正式に採用し、R&Bは誕生します。
その後、1950年代半ばになると、このR&Bを原型とするパーティーのダンスミュージュックが人気を博します。それが「ロックンロール」です。ロックンロールは、もともとはアメリカ英語の黒人スラングで「性交」を意味する言葉でした。それが、1950年代になると「バカ騒ぎ」や「ダンス」も意味するようになったそうです。ロックンローラーで代表的な人といえば、黒人ではチャックべりー、白人ではエルビスプレスリーが有名ですね。
そして1960年代、イギリスからビートルズがやってきます。それまでのロックンロールの形式を崩し、さらに自由な音楽を奏でるわけなのですが、それがロックの始まりでした。中でも「ストロベリーフィルズフォーエバー」は、ロック史において重要な位置を占めると言われていますね。
さて、要するにポピュラー音楽の歴史はこういう流れです。
ブルース→R&B→ロックンロール→ロック
我々が日常的に触れている音楽は、もともとは黒人の魂の叫びだったというわけなんです。
>>>
さて、ここまでで音楽の今と昔についてお話ししてきたわけなんですが、最後に一つ、今の音楽の聞き方、特に、大音量で車を運転する人や、爆音のヘッドフォンをして電車に乗っている方にご助言申し上げたく思います。
音漏れは、不特定多数の人に音楽を聴かせる行為です。
したがって、もしあなたが無許可で音漏れさせているのなら、それはパフォーマーに無許可で音楽を利用していることになります。
したがって、著作権法に抵触する恐れがあります。
知的財産の侵害は重大な人権侵害です。
ただちに音漏れ行為は改めましょう。
というわけで、音楽の今昔はこれにておしまい。
また元気にお目にかかります。さようなら。御機嫌よう。