冬に暴れる「 心筋梗塞 」【健康があいことばvol.10】

冬に暴れる「 心筋梗塞 」

~ 健康があいことばvol.10 ~

冬になると倒れる人が増加する「心筋梗塞」は、男性で60代、女性で70代に急増すると言われています。そこで今回は、心筋梗塞とはどんな病気で、どうすれば予防できるのか、相澤病院の心臓病大動脈センター長の鈴木医師に伺ってきました。

心筋梗塞

相澤病院 心臓病大動脈センター長 循環器内科 統括医長
鈴木 智裕
 

◇ 急性心筋梗塞は恐ろしい

心筋梗塞は、心臓に栄養を送っている冠動脈が詰まり、血液が流れなくなるために心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。日本人の死亡原因の15%程度を占め、同じく動脈硬化が原因の脳卒中と合わせるとおよそ3割に上ります。これは日本人が死亡する原因の第一位「がん」に匹敵する数字です。今まで普通に生活していた人が、突如として命に関わる状態となってしまうため、家族の生活環境をも一変させてしまうことがあります。
 

◇ こんな症状はすぐに救急要請

心筋梗塞の症状は、胸全体が圧迫されたり、締め付けられるような痛みです。痛みの持続時間は15分から30分以上と長いものが典型的です。冷や汗や吐き気を伴うこともあります。顎や肩が痛むこともありますが、指で指し示せる狭い範囲であったり、チクチクするような痛み、数秒や数分という短い持続時間は、典型的ではありません。狭心症は冠動脈の狭窄により、血流が悪化し、心臓が一時的に酸欠状態となって起こる病気です。症状は心筋梗塞と似ていますが、症状の持続時間は心筋梗塞に比べて短く、数分程度が一般的です。心筋梗塞を発症した場合、危険な不整脈が出現することがあります。緊急処置が必要となることもあるため、自分で車を運転をして医療機関へ向かうのではなく、すぐに救急車を要請しましょう。
 

◇ 動脈硬化がもたらす危険

心筋梗塞や脳卒中の原因となる動脈硬化は、加齢や生活習慣によって静かに進行します。まず、血液中のコレステロールが血管の壁に入り込み、血管の内側でプラークという塊になります。このプラークが大きくなると、血液が流れにくくなり、心筋の血液が不足し、狭心症を引き起こす原因となります。さらに、このプラークが何らかの刺激で破れると、傷を修復するための血小板が集まってきて血栓が作られます。そして、血栓が完全に血管を詰まらせるとき、「心筋梗塞」が起こります。
 

◇ 心筋梗塞はこう見つける

心筋梗塞を考える場合、病院ではすぐにカテーテル検査を行います。カテーテル検査とは、カテーテルと呼ばれる細い管を血管に通し、冠動脈を造影して、詰まっているかどうかを確認する方法です。詰まっている場所が確認できれば、そのままカテーテル治療に移行し、迅速に対応できます。何らかの理由でカテーテル検査以外の方法による診断が必要な場合には、CT検査を行います。CT検査では、冠動脈の狭窄の程度を評価することができます。プラークが油に富んでいるのか、線維質なのか、その性質も分かります。血管の状態が判断できる上、外来でも検査が可能であり、体への負荷が少ないというメリットがあります。そこで、安心・安全・迅速な検査を目指して、相澤病院では320列CTを導入しています。320列CTでは、心筋全体を一度に撮影するため、血管の正確な評価につながり、また、検査時の負担や被爆量の軽減にも役立っています。
 

◇ 90分以内が治療のカギ

心筋梗塞はできるだけ早く血液の流れを回復させることが重要です。血流再開までの時間が短ければ短いほど、予後は良好です。主な治療法は、開胸せずに血管の内側から治療するカテーテル治療です。局所麻酔での治療が可能なので、開胸して行うバイパス手術に比べ身体に負担が少ないことが特徴です。また、こうした治療法への変遷に伴い、心筋梗塞における死亡リスクは著しく低下。さらに、病院到着から90分以内に治療を開始した患者さんの術後経過が非常に良いことも判明しており、相澤病院ではスタッフ全員で、「90分以内の治療」の実現や普及に取り組んでいます。
 

◇ リハビリで社会復帰

心筋梗塞の患者さんは心臓の働きが低下しています。また、術直後は心臓の負担軽減のため、安静とし、徐々に活動範囲を拡げていきます。したがって、心筋梗塞発症後のリハビリは非常に重要です。相澤病院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせたリハビリのプログラムを策定。心臓リハビリを専門とするリハセラピストが、どの程度まで活動しても大丈夫なのかという評価をしつつ、社会復帰に必要な体力の回復や動作訓練をサポートしています。
 

◇ 今日からできる予防法

心筋梗塞を予防するには、動脈硬化を防ぐのが一番です。そして、動脈硬化には8つの危険因子があります。高血圧・糖尿病・喫煙・肥満・脂質異常・加齢・ストレス・体質的要因です。この危険因子を除去することが動脈硬化の予防には最も効果的です。中でも、禁煙や肥満解消はすぐに取り組むことが可能です。該当する方は是非、今日からでも始めましょう。また、食事の欧米化が動脈硬化に関係することも明らかになってきています。エスキモーはDHAやEPAを多く含む青魚をよく食べることから、心筋梗塞の死亡者が少ない傾向にあり、食事と動脈硬化の密接な関係がわかります。将来の健康のためにも、和食への見直しを始めてみてはいかがでしょうか。
 

◇ 良い油と悪い油

以前は、悪玉コレステロールを減らす作用があるとして、リノール酸を含むサラダ油やコーン油は良いとされていました。しかし、近年ではリノール酸は善玉コレステロールも減らしてしまうため、動脈硬化という面からは推奨されていません。現在は、不飽和酸を含むオリーブ油や、べに花油が善玉コレステロールを増やすとして、動脈硬化の予防が期待されています。
 

◇ 相澤病院の取り組み

心筋梗塞は命に関わる恐ろしい病気ですが、適切に処置すれば治る病気です。そのために、いま私たちは、血流再開までのスピードを最重要視しており、来院時から治療までの連携を徹底的に図り、病院全体がひとつのチームとなり、心筋梗塞の治療にあたっています。また、心筋梗塞は予防やその予兆を発見することが可能な疾患でもあります。そこで、相澤病院では心筋梗塞や動脈硬化、さらにはAEDの使い方についてなど、「いざ」という時のために知識を深める機会としてのセミナーや講座を多く開催しています。ぜひご参加ください。老齢は避けられませんが、心筋梗塞から命を守る方法はいくつもあります。これからも相澤病院では、心筋梗塞に対する啓蒙活動を行いつつ、動脈硬化の予防や心筋梗塞の治療について研鑽してまいります。

 
■相澤病院 心臓病大動脈センターとは■
http://www.ai-hosp.or.jp/shinryo/b_center_2.html
内科的治療が中心の循環器内科と、外科的治療が中心の心臓血管外科、そしてリハビリテーションセンターから構成される。循環器内科医師、心臓血管外科医師、リハセラピスト、管理栄養士、臨床検査技師、薬剤師、看護師などの専門スタッフが一丸となり、外来から入院まで一貫した診療を実施している。
 
相澤病院のサイトはこちら
http://www.ai-hosp.or.jp
 
ライター:上田雅也
※この記事は、コンパス第15号(平成29年12月27日発刊)に掲載されたものです。

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