冬は石屋が進化する季節。
~ お墓を慮る ~
日本で発生する自然災害の一つ地震。あらゆる構造物の倒壊をもたらすこの災害は、お墓にも影響を与えます。そこで、地震に耐える技術について、彫枡グループ・代表の杉本さんにお話を伺ってきました。
今は年の瀬。ここ数ヶ月は「年内中に!」とのご依頼を多くいただき、ありがたいことに大忙しです。が、年明けになると打って変わり、3月までの間はごく静か。ですから、お墓の相談事はこの時期が最もじっくりと聞いてもらえると思うのですが……ウチだけならすみません(笑)。
ただ、こうした閑散期に、私たちは新しい技術や商品を試します。そして、今回紹介するのはその中でも、数年前に試して以来ずっと使用している商品です。用途はズバリ、耐震です。
日本では「地震、雷、火事、親父」と言われるように、地震は本当に恐れられています。時に墓石も倒してしまいますし、そんな時はご先祖様に対してあまりに切なく、申し訳ない気持ちで一杯になります。
ウチではそうした不安を軽減すべく、「礎(いしずえ)」という商品を使って地震に備えています。佐久の石屋さんが考案した特許商品です。写真のように見た目は単純なゴムリングですが、この真ん中に接着剤を流し込み、上から石の重みで押さえ込みます。すると中が真空になり、接着剤の強さがフルに引き出せます。
最初は半信半疑でしたが、冬の閑散期に試してみると非常に優秀であることに気づき、また、佐久の小さな石屋さんが自分たちで特許を取ったというドラマにも共感して、ウチではそれ以来ずっと使用しています。それまでは耐震といえば従来通り墓石の真ん中に穴を開け、芯棒を通していましたが、今では「礎」一本です。
実際、この商品はマグニチュード7.2の実験をクリアし、先の松本の地震でもウチの石塔の倒壊をゼロに抑えています。また、石を傷めない上、取り外しが容易なので墓じまいの際も役立ちます。
ご先祖様が少しでも安心して眠れますように。
私たちはこれからも、情報を集めて色々挑戦していきます。この冬は何に新しく出会えるのだろう。より皆様のお役に立てるかと思うと、嬉しくてなりません。
- 取材協力 -
彫枡グループ
代表
杉本 弦洋 氏
住所:長野県松本市笹部4-477-5
電話:0263-55-4320