「無料」の今昔
ひと昔前までは有料だったサービスが無料に。無料だったサービスが有料に。その線引きはどこから生まれてきたのでしょうか。江戸・昭和の時代からの変化を比べるとともに、一緒に考えていきましょう。
▼目次
1. 江戸時代、有料。今、無料。
2. 昭和、有料。今、無料。
3. 時代はどっちに進む?無料化?有料化?
1. 江戸時代、有料。今、無料。
今は時計が至る所にあるので、時間を知るのに苦労しません。しかし、江戸時代には時計がなかったので、幕府管轄の下、請負人や鐘撞き人という特定の人物や寺社が「時の鐘」を撞いて時間を知らせていました。そして、その費用は鐘撞料として、鐘の音が聞こえる周辺住民から徴収していました。
教育についても今とは異なります。江戸時代においては、寺子屋は教育面で大きな役割を果たしましたが、その寺子屋で学ぶには授業料が必要でした。が、今は義務教育の小・中学校の授業料は無料です。
2. 昭和、有料。今、無料。
およそ昭和25年くらいから昭和40年ほどまでは、輸血用血液の大部分は民間血液銀行が供給していました。そして、そのほとんどは「売血」といって、有償で採血された血液が原料でした。しかし、今は法律により有料での採血は禁止されていて、血液は完全に無料での提供のみとなりました。
NHKの受信料も、昔はテレビの受信料以外にラジオ受信料がありましたが、ラジオの受信料は昭和43年に撤廃されました。
3. 時代はどっちに進む?無料化?有料化?
このように、今、様々な分野で無料化が進んでいます。しかし、一方では有料化されたものもいくつかあります。
例えば、世界遺産の富士山では、5合目より上を目指す方は1,000円の入山料が求められます。また、プラスチック製買物袋は、今年の7月1日より有料化がスタートします。
これからの時代、日本は無料化と有料化、どちらが加速するのでしょう。それは私にはわかりません。ただ、今までの流れに鑑みると、これから「も」大切なもの(命や学力など)は無料化が進み、これから「は」大切にしたいもの(環境など)は有料化が進みそうです。
いずれにせよ、有料でしか維持できない優良もある、それは忘れたくないものです。