【弁護士が解説】自筆証書遺言の新保管制度とは

  1. 相続

【弁護士が解説】自筆証書遺言の新保管制度とは

 
およそ40年ぶりに相続法が改正され、2019年7月1日より相続が大きく変わりました。新しく創設された「自筆証書遺言の保管制度」について山本弁護士に解説をお願いしました。
 

▼目次
1. 新しい遺言制度
2. 従来の自筆証書遺言の問題点
3. 自筆証書遺言の保管制度の創設
4. まとめ

 
自筆用証書遺言

1. 新しい遺言制度

今回は相続法の改正のうち、「自筆証書遺言」ついて解説したいと思います。自筆証書遺言は、遺言者が、全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押して作成する遺言の形式です。遺言を簡単に作成できる反面、自筆証書遺言の問題の一つとして、保管が難しく、トラブルや紛争が起きやすいことが挙げられていました。このような問題点が、今回の相続法改正で解消されることになります。

2. 従来の自筆証書遺言の問題点

公証役場にて作成する公正証書遺言であれば、遺言の原本は公証役場に保管され、法令で定められた一定の期間内は廃棄されることはありません。また、相続開始後に、相続人は被相続人が公正証書による遺言を作成していたかどうか、検索することも可能です。
これに対して、自筆証書遺言は、遺言者が保管しなければならず、災害や紙の劣化による滅失、さらには紛失などに気を付けなければなりませんでした。保管の仕方によっては相続開始後に、相続人が遺言を発見できず、遺言者の最後の意思を実現できないこともあります。また、相続開始後に相続人が自筆証書遺言を発見した場合であっても、自分に都合が悪い内容だと分かった相続人は、その遺言書を廃棄してしまう可能性もあります。

3. 自筆証書遺言の保管制度の創設

自筆証書遺言を遺言者自らが保管することから生じる偽造・変造・紛失などの不都合を回避するために、相続法改正によって、自筆証書遺言を、法務局で保管してもらうことが可能になりました。
具体的には、遺言者は、法務局にいる遺言書保管官に対し、自分の遺言書を無封の状態で保管するよう申請します。保管をしてもらうためには遺言者本人が法務局に出向く必要がありますが、保管後に本人が行けば保管の撤回もできるので、遺言の内容の変更などもできます。
なお、この遺言の保管制度は、令和2年7月10日から始まります。これより前に、法務局に対して遺言書の保管を申請することはできませんので、ご注意ください。

4. まとめ

自筆証書遺言の保管制度によって、遺言が破棄・隠匿される可能性は低くなります。しかし、法務局では遺言の有効性までチェックをしてくれるわけではないので、改正相続法のもとでも遺言の有効性が問題になる可能性は残っています。
せっかく遺言を作成したのに無効になってしまったということを避けるためにも、遺言の作成をお考えの方は専門家にご相談ください。

 
― 取材協力 ―
山本法律事務所
長野県松本市島立798-1 YSビル102
弁護士 山本 賢一 氏
http://www.yamamoto-lo.jp/

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