墓じまいで、墓石をお地蔵さんに。
~ お墓を慮る ~
近年、増加傾向にある墓じまい。墓石の魂抜きから解体とありますが、「それだけでは味気ない」そう思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、お墓のプロ・杉本さんに墓じまいしても、何か「形」として残すことができないのか、お話を伺ってきました。
コンパスさんでコラムを書くようになり2年ほど。少しずつ我々の事を知って頂き、「記事を読んだよ」なんて声を聴くようになりました。ありがたい事です。これからも職人からの発信を続けていきたいと思います。
さて、本題。
近年圧倒的に増えているのはお墓の解体。墓じまいです。少子高齢化に伴うお墓の跡取り不在のご相談は爆発的に増えています。
「息子は遠方で就職してしまって松本に帰るつもりはない」
「迷惑をかけたくないから自分は永代供養を考えている」
そんなご相談ですね。
ご先祖様のご遺骨の行き先が決まってない場合は行き先を見つけ、手続きが必要な場合はそれを行い、墓石の魂抜きを行い、解体作業となるわけですが、とある方はそれだけでは味気ない。なにも無くなってしまう事は寂しい。と言われるワケです。
そこで我々は、解体した墓石から小さなお地蔵さんを作る事にしました。私個人は絵や文字彫刻しかやった事がなく、造形彫刻は素人。ですがそこは彫枡!チームプレーでいきます!御年65歳の大ベテラン職人さんに相談してお地蔵さんにしました。
役割を終えた墓石が形を変えて手元に残る……なんかロマンチック。
自分の棺に入れるなんて事も考えられますよね。
出来たお地蔵さんは墓石の使える部分を使用しているので、汚れもあるけどそれがまたいい。歴史を感じます。
今回はお地蔵さんを作りましたが、全ての墓石が使える訳でもなく、条件があります。また、手間が手仕事なので時間もかかります。これだけのモノでも1ヵ月以上かかっています。そのため安価な事は言えませんが、手間の一つ一つも供養に繋がればと思っています。ウチで墓じまいをお考えの際、何か大事にしたいお気持ちがあればお申しつけください。形としてご提供できればと思います。
また、墓じまいのその後。墓石の再利用や、解体した墓石の行き先についてはいずれ大きな社会問題になっていくと思われます。その事についてはまた次号にでも。
- 取材協力 -
彫枡グループ
代表
杉本 弦洋 氏
住所:長野県松本市笹部4-477-5
電話:0263-55-4320