【2020年夏号 巻頭特集】
乗り越えられない壁はない
脳卒中を患うも、自分たちは運がいい
解体業を営む株式会社 ディプラスの代表・小林氏と、松本市の工務店・株式会社 優プランの児玉氏は、三十代にして脳卒中を患い、一時は精しをさまよいながらも、今は元気に仕事に従事している。そんなお二人は倒れた時、何を思い、自分の人生に何を感じ、未来に何を求めたのだろう。
児玉 私が脳梗塞を患ったのは平成30年。会社の帰りにスーパーで買い物をしていたら、どうにもまっすぐ歩けず棚にぶつかり、ろれつも回らずうまく喋れない。そこで、その日のうちに緊急で検査をしてもらと、椎骨動脈解離であることが判明し、そのまま入院。しかし、椎骨動脈解離で入院していたからこそ、数日後に脳梗塞が早期発見でき、また、その場所も運良く命に別状を来さない場所だったので、何とか命拾いしました。
小林 私は平成31年に蜘蛛膜下出血を患いました。目覚めては意識を失う。それを何度か繰り返し、二度の手術と、約半年に渡る入院および自宅療養を行い、ようやく最近になって、以前のように動けるようになりました……まあ、頭には鉄板、お腹には機械が入っていますけどね。
児玉 不安がつきないですね。
小林 ええ。でも、自分の人生を呪ったことは一度もないですよ。むしろ入院中はベッドの上で、自分の強運を喜んでいました。
児玉 一緒です!私も脳卒中を患ったものの、運が良いと思いました。
塞翁が馬。
そんな言葉をよく頭に思い描いたものです。人間んは、究極的には命があるだけで幸せを感じるんですかね。
小林 でも、将来のことを考えるたび、とても大きな不安に襲われます。
児玉 そんな時はどうしますか?
小林 私には小さな可愛い子供がいるのですが、あの子たちのことを考えては「まだ死ねない!」と奮い立たせています。
児玉 私は、なってしまったものは仕方ない、その上で自分がどう行動すべきか考えよう、そんな風に冷静に考えるよう努めています。
だからかな。本当は、あまり不特定多数の方がいる所には行きたくなりません。脳卒中罹患者は、コロナに感染すると重症化しやすいらしいので。
でも、コロナが蔓延したのは仕方ないことです。それを嘆いても始まらない。コロナはコロナ。
ですから、私はしっかりと予防対策を施し、定期検診は必ず受診しています。
小林 私も定期検診は欠かしていません。怖いのはコロナだけじゃないですものね。むしろ再発の方が怖い。
児玉 もちろん、一番伝えたいことは感謝です。家族やお客様、会社、色々な方からのお力添えは本当に嬉しかった。
心から感謝しています。
小林 実るほど頭を垂れる稲穂かな。
この病気により、感謝の心や謙虚さがいかに大切か、それを改めて学んだ気がします。
本当に、色んな方に頭が下がるばかりです……実際は、頭の中に埋め込まれた鉄板の分、頭が重くなっただけかもしれませんが。
児玉 それだけ冗談が言えれば心配なさそうですね。
お互い感謝の心を忘れず、前向きに生きていきましょう!
- 取材協力 -
小林 大介(株式会社 ディプラス)
児玉 忠(株式会社 優プラン)