お水 の今昔
水で戦争が起きる。それが知識人の見解です。20世紀は「石油」で紛争が起きた時代でしたが、21世紀は「お水」で戦争が起きるかもしれない、と言うのです。確かに……と思いませんか?日本では稲作の始まった弥生時代になると、水利権を求めそれまでなかった紛争が起き始めます。私たち人間は、水をどのように考え、どのように水と接してきたのでしょう。お水の今と昔を比べてみました。
▼目次
1.「どこ」が重要だった時代
2.「どうやって」が重要になった時代
3.「ひねるもの」は何?
1.「どこ」が重要だった時代
水の確保が生命に関わるということは、古代から人は理解していました。しかし、当時は科学文明が発達していなかったため、「水をどう手に入れるか」ではなく「水がどこにあるか」が重要でした。国家を生んだ世界四大文明(エジプト文明・メソポタミア文明・インダス文明・黄河文明)が、全て大河流域に発生したのはそのためです。
2.「どうやって」が重要になった時代
それから時は流れ、戦国時代後期になると、水道管を使用したものがいくつか作られ始めます。日本最古の水道と言われているのは、北条氏康によって小田原城城下町に建設された小田原早川上水です。16世紀半ばの話ですから、今から500年ほど昔の話です。しかし、日本全国に上水道網が完成したのは意外と最近で、およそ1970年代中頃です。それまではコレラが大発生したりして、「どうやって水を確保するか」は非常に大きな問題でした。
3.「ひねるもの」は何?
国土交通省によると、水道の水をそのまま飲める国は非常に少なく、わずか15カ国としています。当然その中に日本は含まれているのですが、最近になって状況は少しずつ変わっています。内閣府の世論調査では「水道水をそのまま飲む人」は37.5%に対し、それ以外の人はミネラルウォーターを購入したり水道水を一度沸騰させたりしていて、水道水をそのまま飲まない人は6割以上に上ります。今の日本は、「どんな水を手に入れるか」が最重要課題なのです。世界銀行の元副総裁・イスマル・セラゲルディン氏は「20世紀は石油紛争の時代だったが、21世紀は水紛争の時代になる」と予測しています。
我々の先祖は、蛇口をひねれば飲み水が出る国を作り上げました。今度は私たちの世代が、知恵をひねって水資源の課題をクリアするべきなのではないでしょうか。