読書 の今昔
昔の人は黙読ができなかったそうです。現代では読書は声を出さなさいのが普通ですが、昔の人は読書といえば音読だったようです。他にも今と比べれば、読書の作法は大きく異なります。どれほど読書は変わったのでしょう。今と昔を比較しました。
▼目次
1.音読から黙読へ
2.速読の流行
3.不要なものはない
1.音読から黙読へ
昔は読書といえば音読でした。例えば4世紀頃のアウグスティヌス著『告白』では、彼は師匠が黙読する姿に驚愕しています・当時は、読書と言えば声に出して読むのが当たり前だったからです。黙読が広まったのは意外と最近のことで、日本では明治以降のことです。明治5年に湯島聖堂内に開設された書籍館で音読が禁止され、それに倣い多くの図書館が音読を禁止。こうして日本では黙読が浸透したと言われています。
2.速読の流行
20世紀に入ると、読書の方法に「速読」というものが加わります。速読とは「斜め読み」や「飛ばし読み」により、大切そうな所のみを読むというテクニックです。こうした読書技術により、現代人は効率的に大量の書物を読破できるようになりました。
3.不要なものはない
書かれた言葉は、語られた言葉の影。
パイドロスという書の中で、ソクラテスはその考え方に肯定的です。つまり裏を返せば、音読とは書かれた言葉にもう一度命を吹き込む儀式にあり、ゆえに私は、一文字一文字を丁寧に読み上げることが正しい読書だと思っています。そもそも、書物はもちろん、世の中には大切ではないものなど一つもありません。全てに存在意義があります。速読を否定するわけではありません。ただ、私は無条件で効率化を肯定する気にもなれません。例えば、人の一生を効率化したらどうなるのでしょう。人生のゴールは死ぬことです。したがって、死ぬために必要なことだけをすることになります。
人生が短いのは昔の話です。今は人生100年時代。一文字一文字に目を凝らし、一言一言に耳を傾ける。読書の秋をきっかけに、そんなゆったりした人生を時間に綴っていきたいものです。
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