音楽の秋 ~ 音楽をいつまでも ~

  1. コラム

音楽の秋 ~ 音楽をいつまでも ~

 
教科書にも載っている名曲「想い出がいっぱい」を歌った、長野県出身の元H2O・赤塩正樹さん。シンガーソングライターであり、現在は東京にオフィスを構え、様々なシーンへ音楽をプロデュースする一方、子供に音楽や英語を教えています。今回はそんな赤塩さんに、音楽についてインタビューしてきました。
音楽の秋


— — 早速ですが、H20の名前の由来を教えて下さい。
音楽で化学反応を起こしたい。そんな想いから、名前は化学式がいいと思っていました。バンド名が化学式。あの頃は、そんなバンドは一つもなかったですし。それに、僕たちのハモった歌声は、「水のように透き通っている」と言われていました。これは本当に嬉しかった。人間の体は2/3が水でできていますし、そもそも水は人間に欠かせません。僕たちの音楽が、多くの人にとってそんな水のようなものになりますように。そんな願いを込めてエイチ・ツー・オーと名付けました。
 
— — 奥が深くて、良い名前ですね。
でも「その名前は変だ」と、なかなか受け入れられなかった。だから、当時所属していた事務所の社長が、サザンオールスターズの桑田さんに改名をお願いしたんです。しかし、その提案が「太郎山ブラザーズ」だったから、事務所の社長が「やっぱりH2Oに戻す!」と、鶴の一声で改名中止。太郎山は僕の出身・上田市にある山なのですが、いずれにせよ、変わらなくて本当に良かった……と胸を撫で下ろしたものです。
 
— — バンド名にも想い出がいっぱいなんですね。ところで、教科書にも掲載されている「想い出がいっぱい」は、メロディーも歌詞も秀逸です。
作詞は阿木燿子さんですが、本当に素敵な歌詞だと思います。僕も大好きです。
話は少し変わりますが、僕はこの秋公開の映画「うさぎ追いし— 山極勝三郎物語 —」のエンディングテーマの一部を担当させていただいています。その関係でヒロインを務める水野真紀さんにお会いしたのですが、嬉しいことに彼女は「想い出がいっぱい」の大ファンだったんです。そんな彼女は、お会いしたその場で僕にこう言ったんです。
「あの曲は一口で二度美味しい」
 
— — どういう意味なんでしょう。
水野さんがこの曲を最初に好きになったのは中学生の時で、その頃は「大人の階段のぼる 君はまだシンデレラさ」のフレーズが大好きだったそうです。それがご結婚されてからは、「幸せは誰かがきっと 運んでくれると信じてるね」を実感したそうです。
「幸せは自分で掴むものとだと、人生の厳しさを少し実感したからでしょうね(笑)」
そんな風に笑ってお話ししてくださった水野さんが印象的でした。
 
— — 年月を重ねることで、音楽の受け取り方が変わる。そういうこともあるんですね。
往々にしてあると思います。音楽は思い出とリンクします。ですから、どうしても先入観を持ってその曲を聴いてしまいます。しかし、時が経つとその思い出の捉え方も変わってきますし、すると不思議なもので、音楽の聴こえ方も変わってきます。その時々の精神状態もあるのでしょうが、いくつになっても人間は成長する生き物であると、そういうことも関係あるかもしれませんね。
 
— — 何歳になっても、「大人の階段」は終わらない。
そうですね。一般的には、子供はまだ未完成で、大人は完成形(いわゆる完璧)と、そんな認識があると思います。けど、僕は世の中に完璧はないと思っています。実際、僕の録音はそうです。完璧だったことはありません。それでも、その不完全さが味になったり、共感できたりするなら問題ない。むしろそれが人間らしくて良い。それが僕の考え方です。
大人になるとは、完璧になることではないと思うんです。だから、いくつになっても大人になりきることはない。いいじゃないですか、未完成。未完成は原動力です。若さの源です。もし完璧になったら、夢がないことと同じです。つまらないですよね、そんな人生。いつまでも欠点を探さなくっちゃ。
 
— — またどこかでお会いできますか?
長野県内では、12月9日に圓浄寺にて、午後6時よりお寺ライブを行います。また、それ以外にも色々とライブ活動はしています。
日程はフェイスブックAka Planet/赤塩 正樹 か、ホームページに掲載しております。
また近々、是非お会いしましょう!

四柱神社

 
― 取材協力 ―
株式会社AKAプラネット
代表取締役
元H2O 赤塩 正樹 氏

 
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