【山の日のなぜ】山の日が8月11日になった裏話

  1. コラム

【全国山の日協議会・理事が解説】
「山の日」のなぜ & 松本と安曇野との関係

「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」
この趣旨に基づき、今年から8月11日は「山の日」として国民の祝日となりました。
山は、信州のシンボルです。そんな信州に、「山の日」はどんな影響を及ぼすのでしょう。どんな可能性を秘めているのでしょう。そして、私たちは山に何ができるのでしょう。

いざ、山の日。

全国山の日協議会の理事・務台俊介衆議院議員に、「山の日」のなぜ、そして、「山の日」と松本や安曇野との関係について教えていただきました。

いざ、山の日。

まずは改めて、山の日についてお話いただけますか

2010年に山岳関係者による山の日制定協議会が、2013年に国会議員による超党派の議員連盟が設立され、衆議院議員衛藤征士郎会長の下、私が事務局長を仰せつかりました。そして、精力的な作業の結果、2014年に「国民の祝日に関する法律改正案」が成立。今年から8月11日が「山の日」として国民の祝日となりました。

「山の日」は日本で16番目の祝日ですが、世界で初めての「山」に関する祝日です。知られるにつれ、「山の日」は日本のみならず、海外からも大きな関心を集めています。

なぜ8月11日なのでしょう

新しい祝日を設けるにあたって、当初から祝日のない6月か8月が候補でした。しかし、6月はまだ雪があって本格的な登山のシーズンではありません。そこで議論に議論を重ね、山の形である「八」月の、それも木立を連想する「11」日を祝日にしようということになりました。

また、その日は播隆上人が槍の穂先にブロッケン現象を見たとの言い伝えがあり、さらにその日はお盆前なので、家族みんなで山が楽しめます。後付けの理屈ですが、そうして8月11日を山の日と決めました。

第一回「山の日」記念全国大会が、この信州の松本市で開かれます

槍ヶ岳を開いた播隆上人、近代登山の始祖ウエストンなど、山にかかわる関係者が多くいるこの信州で、記念すべき第一回「山の日」記念全国大会が開催されることは非常に誇らしいことです。

蝶ヶ岳を背景
こよなく信州の山を愛する務台衆議院議員。蝶ヶ岳を背景に。

また、折しも今年は、安曇野の拾ケ堰(じっかせぎ)開削200年です。安曇野を潤すこの農業用水「拾ケ堰」は、五年前に皇太子殿下もご視察になられ、私も何度か視察に伺っています。ほとんど傾斜のないところにも関わらず着工からわずか3ヶ月で竣工させた偉業もさることながら、この景色の美しさには心から感服します。

信州には、こうした観光資源がたくさんあります。山の日が契機となって、より多くの方にそうした信州の魅力が伝わる日にもなれば、と思っています。

山の日が信州を活性化させる。というわけですね

山の日は、や文化、歴史、医療など、様々な領域から地方創生の扉を開くものと確信しています。ただ、こと信州に限って言えば、あまりに多くの潜在的観光資源が眠っています。「観光」という言葉を聞くと、多くの方が力みます。しかし、私たちはかたひじを張る必要などまるでないのです。

海外からいらっしゃる方々は、信州の至る所で「スタニングビュー(stunning view:非常に美しい眺め。絶景)」という単語を口にします。当然、北アルプスも「スタニングビュー」ですが、例えば水を張った水田も「スタニングビュー」です。日本的農業の田植えも然りです。私たちは見慣れているかもしれませんが、海外の方々にとっては、それは息をのむほど美しい光景なのです。実は、信州での日々の営みは観光資源なのです。
私はこうした事実を再認識するだけでも、大きく信州創生につながると思っています。

最後に、「山の日」に何を願いますか。

より多くの方に、山に登って頂ける日になることを願います。それが一番「山に親しむ」ことですから。そして、願わくば、国民一人ひとりが初心に戻って「自分が地域のために何ができるのか」を考えるきっかけとなる一日になって欲しいと思います。

信州人に限らず、私たち日本人は山の恩恵を多く授かっています。空気を美しくする木々は山にあり、命の水は山から流れてきます。私はこの祝日によって、親、子、孫の三世代で山に親しみ、山を愛し、山の恩恵に感謝する日本人が増えることを切に願っています。そして、この「山の日」が地方創生の起爆剤となって、地域に大きな経済的効果をもたらすことを心から願っています。

― 取材協力 ―
全国山の日協議会
理事 務台 俊介 衆議院議員
山の日制定

本、出しました。

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