【弁護士が解説】新たに遺産請求できる人とは
およそ40年ぶりに相続法が改正され、この7月1日より相続が大きく変わります。その大きなポイントの一つが「相続人以外の貢献度を考慮する」点です。山本弁護士に解説をお願いしました。
▼目次
1. 相続法の改正
2.「特別寄与請求権」の創設
3. 特別寄与者になれるのは誰?
4. まとめ
1. 相続法の改正
平成30年度民法改正により、配偶者の居住権に加えて、特別寄与についての規定が創設されました。これまでも寄与分として請求することはできましたが、その対象は、相続人限定されていました。今回の民放の改正により、相続人以外にも被相続人への貢献を考慮する旨が明確にされました。
2.「特別寄与請求権」の創設
現実的には、相続人でない者が、被相続人の療養看護等を行う場合がよくあります。例えば、被相続人の子の配偶者が被相続人の療養看護等をする場合です。改正前の民放では、被相続人の財産維持又は増加に貢献した人が相続人でなければ寄与分の主張は原則としてできず、親族間で不公平になる場合がありました。
しかし、特別寄与請求権の創設により、被相続人への無償の療養介護や、労務の提供を行った(家族経営店の手伝いや、農業など)場合、相続人でなくても寄与分が認められるようになりました。今回の創設により、例えば被相続人の子の配偶者を特別寄与者として、特別寄与料の請求ができるようになりました。
3. 特別寄与者になれるのは誰?
特別寄与者となり、特別寄与料を請求できるのは、被相続人の相続人でない親族と定められています。親族とは、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族であり、この配偶者はこの中に含まれます。相続人である子の配偶者は、相続人でない親族として、介護への貢献分を特別寄与料として請求することが可能です。
4. まとめ
特別寄与の規定の施行日は、令和元年7月1日です。特別寄与料の請求については、相続開始及び相続人を知った日から6ヶ月を経過したとき又は相続開始の時から1年を経過したときは、請求できなくなります。そのため、相続が開始した場合には、すぐに請求を考えなければならないということに注意が必要です。
今回は「特別寄与者」について解説しましたので、次号では特別寄与者となった場合に請求することができる「特別寄与料」について具体的に解説をしたいと思います。
― 取材協力 ―
山本法律事務所
長野県松本市島立798-1 YSビル102
弁護士 山本 賢一 氏
http://www.yamamoto-lo.jp/