人生会議と家族会議
~ 心の相続 ~
世界が驚くほど、日本人は宗教について寛容だ。しかし、葬儀に関しては必ずしもそうではない。故人が宗教と切り分けて葬儀を行うことを望んでも、それはなかなか困難な時代である。が、方法は全くないのだろうか。板倉さんに伺った。
日本人は不思議です。
生まれたら神社でお宮参りをし、七五三にも神社へ行きます。秋になればカトリックの伝統行事・ハロウィンで盛り上がり、冬にはクリスマスを祝います。
しかしその一方で、日本人の多くは仏教徒なはずなのに、お寺に通う人は多くありません。キリスト教信者で教会に行ったことがない人はいないでしょうが、自分の菩提寺に行ったことがない仏教徒は結構いるのではないでしょうか。
これらが悪い、とは言っていません。私は日本人の順応性の高さを指摘しているだけです。ただ、それほど順応性の高い日本人でも、対応できないことがあるから不思議です。
そうです。
それが、お葬式の風習です。
命の誕生や七五三の生長祈願などは神道、永遠の愛を誓う結婚はキリスト教と、私たち日本人は新しい価値観を持って、必要に応じて宗教と切り分けて行動できます。
しかし、なぜか葬儀だけは話がべつです。仏教徒なら葬儀は仏教の様式、という概念が浸透していて、葬儀と宗教を切り分けるとは、今の日本ではとても困難なことです。
もちろん、ご先祖あっての私たちですから、家族が亡くなった際には、菩提寺への報告はすべきでしょう。
しかし、お葬式は故人との最後のお別れの場所です。
故人を偲ぶことと宗教は切り分けていいはずです。
ですから、私はしばしば、「密葬+お別れの会」という形態を提案します。
お別れの会であれば、亡くなった直後にこだわる必要はありません。故人との関係者が集まりやすい日程を調整できますし、会場も自由に選べる上、人数も事前に確定しやすくなることでしょう。
また、最近ではお金やタイミングの問題もあって、事務的処理のような直葬を選択する方が増えていますが、そうした方にとっても、「密葬+お別れの会」は予算やタイミングの問題を解決します。
この世界で最も大切なものは「縁」です。
ですから、せっかく頂いたそのご縁、最後まで大切にしませんか。
私はご高齢の方々がより安心・安全に暮らせるよう専門家とおつなぎするNPO代表理事であると同時に、葬祭やお墓などについてのご相談も無料で承っております。宗教にとらわれず、故人らしいお見送りをしたい。そんな方はぜひお気軽にお電話ください。
- 取材協力 -
NPO法人 シニアプラネット
代表理事
板倉 富男 氏
ホームページ:http://kura-e.com/index.html