寄り添う石屋、とは。
~ お墓を慮る ~
春彼岸。信州の寒い冬を抜け、何かに開放されたかのようなこの季節が一番好きです。冬は毎年収入も少ないし、確定申告で胃が痛いし、新しいことにチャレンジもしなければいけないけど、とにかく寒いし…。
と、例年はその繰り返しが私たちの冬なので、春の訪れは全てが動き出す!そう感じられるからこの季節が一番すきなのです。
しかしながら、今年はなぜか忙しく、おかげさまであまりあれこれ考えずにいられました。本当にありがとうございます。
さて、そんな私たちの元には毎年、春彼岸の前ともなると花立、塔婆立てなどの小物交換の依頼や、クリーニングのご依頼が多くなります。特にクリーニングは毎年のように依頼される方がいます。
とあるお施主様のケースです。あまりにお墓の状態が良く、私から見るとクリーニングしても変わり映えしないことが明白だったので、こうお伝えしたことがあります。
「何もそこまでやらなくても。一年くらいではそんなに効果も変わりませんし、何より現状、汚れも厳しくないですよ」
すると、そのお施主様いわく
「そういう問題ではないの。自分では体もキツイけど、お彼岸にはキレイな状態でお父さんに会いたいの」
と。言われてみれば
「あ~そうだよな~」
ですよね。
つまりは私から見る視点と、お施主様から見る視点では同じ「クリーニング」でも「価値観」に違いがあったわけです。当然と言えば当然な事ですが、私は「クリーニング」を「商品」として説明していました。しかし、お施主様から見れば「クリーニング」を「心の持ち方」として捉えていらっしゃいました。
お墓に対する思いは人それぞれです。お墓参りを通して、先祖に想いを馳せる人もいれば、故人の冥福を祈る人もいる。自分自身を見つめ直すきっかけにしている人もいることでしょう。
ゆえに、お墓に対する価値観は、サービスや商売という側面からだけでは測れない。つくづくそう感じたものでした。
自分の節目、自分のけじめ、故人への想い、お墓に対して思う事。そういった事があれば何なりとご用命ください。微力ながら寄り添えますよう尽力いたします。
- 取材協力 -
彫枡グループ
代表
杉本 弦洋 氏
住所:長野県松本市笹部4-477-5
電話:0263-55-4320