森の国 「日本」で、身近な自然の中を散策して楽しみませんか。
以前に、見ず知らずのドイツ青年が私を訪ねてきたことがありました。
私の友人が、年来の夢を実現させてシベリア鉄道でウラジオストックからモスクワ経由でウィーンまではるばる旅をしたのですが、その一週間以上の列車の旅で、一緒になったドイツ青年達と来る日も来る日もトランプをしたり、お喋りしたりして過ごしたそうです。そうして、自分の故郷(松本)の自慢をしたら、ドイツ青年が「じゃあ、そこへ行ってみる」と言ったので友人は勝手に私を紹介し、そのドイツ青年も本当に私を訪ねてきたわけでした。
約束した当日、彼は約束の時間をはるかに過ぎてやってきました。「列車に乗っていたら、窓外の景色がすばらしかったので途中下車して線路に沿ってずっと歩いてきた」とのことでした。
「森の国」と自らも自慢しているドイツでは、「ワンダーフォーゲル(渡り鳥)」運動(自由を求めて野外活動をする思想)を生んだり、自然の中を気ままに旅する風潮が盛んです。私が勉強したドイツ語のテキストの中に、家でギターを弾いたり、女の子とデートばかりしている息子を見て父親が「私の若い頃は、週末や休暇にはいつも田舎や森をさまよい歩いてものだが、近ごろの若い連中は……」と嘆いている一節がありましたが、リュックを背に自然の中に身をおいて気ままに彷徨う風潮は今も根強いものがあるようです。
翻って日本はドイツ以上の「森の国」です。先進国中、森林率において日本(68%)はフィンランド(72%)、ノルウェー(69%)と並んで世界のトップです。(世界平均は30%、ドイツは33%)参考に、日本において宅地や道路、農地として利用されている面積は国土の20%ほどですから、山々や森が見えたら、そっちの世界の方がはるかに広大なわけです。先のドイツ青年のように、気楽に田舎や身近な自然の中を彷徨ってみたら、生活に新しい世界が加わるかもしれません。遠出しなくても、半日使って気ままな散策場所はけっこう身近にあるのです。
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芥子望主山・市民の森 整備推進協議会
会長 田内 正一 氏
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