【業界裏話】ウェットクリーニングの厳しすぎる基準

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【クリーニング店告白】ウェットクリーニングの厳しすぎる基準

クリーニング業界の裏話
以前、ラッコのマークでおなじみの「クリーニング の巴屋」さんに、ウエットクリーニングをご紹介していただきました。


「汗などの汚れは、ドライクリーニングではほとんど落ちません。黄ばみの原因を除去するには、ウェットクリーニングが有効的です」と、そんな内容のお話でした。

そこで編集長のわたくし上田は、初めて耳にした「ウェットクリーニング」についてもっと詳しく学ぶべく色々お訊ねしてきたのですが……それがあまりに衝撃的だったので、ここでご報告させていただきます。

▼目次
1.ウェットクリーニングとは
2.新しいラベル
3.MA値とは
4.厳しすぎる商業クリーニングの試験
5.まとめ

1.ウェットクリーニングとは

洗浄液として水を使う選択方法は、洗濯物が化学的・物理的ダメージを受けやすい洗濯方法です。化学的ダメージとは衣服の色抜けなど、物理的ダメージとは縮みや型崩れをなどを指すのですが、本来はそうしたリスクを避けるためにドライクリーニングを行います。ところが、ウェットクリーニングでは本来ドライクリーニングすべき洗濯物を、洗浄液として水を使い、洗濯物の化学的・物理的ダメージを最大限軽減して行います。

大丈夫なの?

率直に疑問が浮かびますね。しかし、大丈夫なんです。というのも、「ウェットクリーニングはじめました」と言えるようになるためには、信じられないほど厳しい試験をクリアしなければならないからです。

2.新しいラベル

しかし、厳しすぎる試験内容を発表する前に、衣類のケアラベルが変わることをお話ししますね。
ご存知の方も多いかと思いますが、2016年12月1日に、衣類のケアラベルが変わります。衣類には洗濯に関する注意マークが色々ありますよね。あれがケアラベルです。今までは日本独自のデザインでしたが、今後は世界基準に準ずる形となります。最大の注目ポイントは、商業ウェットクリーニングのマークが追加されることです。

ウェットクリーニングマーク

このマーク、世界的には浸透しているのですが、日本には今までありませんでした。(海外ブランドの洋服をお持ちの方は一度ご確認ください。ひょっとすると、このマークがあるかもしれません。)そしてマーク下の棒の数で、デリケートさが変わります。横棒の数が多い程、弱い処理が求められています。

ウェットクリーニング

3.MA値とは

さて、上述の通り、ウェットクリーニングには非常に繊細な作業が求められます。横棒の数によって求められる処理の強さも変わります。そこでその処理の強さを業界で統一しようと誕生したのが「MA値」です。MA値とはMechanical Action(機械的作用力、洗濯機械力)の略で、一般的にデンマーク技術研究所(D.T.I.)製MA布「MA24」で測定します。このMA値の定める所が、想像を超えるほど厳しいのです。

4.厳しすぎる商業クリーニングの試験

1辺24cmの平織(綿100%)に、直径3.5cmの穴が5つ打ち抜かれています。

ウェットクリーニング試験布

※この試験布はデンマーク製で、お値段は何と¥2,000/枚

これを負荷布や被洗物に4隅を縫い付けて洗うのですが、この打ち抜かれた穴の部分の、糸がほとどけた数の合計がMA値です。そして、このMA値が低ければ低い程、ウェットクリーニングの対応幅が広がります。もちろん弱い処理ができるだけではダメで、汚れも落とさなければなりません。
切り抜かれた部分の糸がほとんどほどけないように、綺麗に洗濯なんてできるものなの?
ほとほと不思議でしかないのですが、しかし、それが企業努力によりどうにかなるそうです。
凄い、というより凄すぎます。

5.まとめ

今年の12月から、「ウェットクリーニング」という新しいケアラベルの導入により、クリーニング業界は大きな変化を迎えることとなります。その対応に向け、日々努力を惜しまない巴屋さんにも尊敬の念を強く抱いたものですが、一方で、ここまで困難なテストを実施しようとするクリーニング業界にも、心から敬服しました。おそらく、こうした目に見えない所で色々と切磋琢磨しているからこそ、日本のクリーニングは安心なのでしょう。そして、信州に巴屋さんのような企業があることを、本当に誇らしく思った取材でした。
巴屋さん、ご協力ありがとうございました。

取材協力:
巴屋グループ
株式会社エクセル
http://www.tomoeya-cleaning.com

本、出しました。

当サイトで最も高い閲覧数を誇る「今昔」。
それをさらに掘り下げ、書き下ろしました。

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