おいしくて、安心安全。
信州産の一等米。

美味しくて安心安全なお米を作りたい。そんな想いで稲作に取り組む「ほらぐちファーム」の洞口さん。米づくりに対する想いを聞いているうちに、ほらぐちファームのお米は3つの「根」でできていることに気づく。その3つの「根」とは。洞口さんの米想道を紐解く。
稲の「根」ーーいねのね
「昔から言う通り、苗半作ですよ」
洞口さんは静かに語る。 苗半作とは、苗づくりが稲作の半分を決めるということわざ。洞口さんも育苗にはこだわりがあり、三日に一度、18kgのローラーで苗に負荷をかけている。
「人間の筋肉と同じです。適度に負荷をかけると、苗の幹は太く、根も強くなるんです」
稲の「根」を強くする。これが洞口さんの米作りの特徴・一つ目だ。
「根」拠ーーこんきょ
ところで、「おいしい」に根拠はあるのだろうか。
「食味値の測定結果による高得点が根拠です」とは洞口さん。聞けば、お米の味は数値化できるらしい。
安心安全についても、根拠は示せるという。残留農薬 種、放射性物質やカドミウムの有無の検査を実施。さらに、県から「信州の環境にやさしい農産物認証」を受けている。
おいしい安心の、「根」となる根拠がある。これが特徴・二つ目だ。
性「根」ーーしょうね
「孫が生まれたとき、自分の米を食べさせたい、そう思ったんです」
一部上場企業の技術職として、世界各国を渡り歩いた洞口さん。しかし、そこで目にしたのは、野菜を洗うための洗剤や、果物に塗られたワックスなど。食に対する疑問が心に残った。
「これでは安心できない」
そう思い、大正十二年から続く家業を継ぐことにした。
昔ながらの手間は惜しまず、一方で、最新の技術も取り入れる。それが洞口さんのスタイルだ。
毎年、土壌成分を分析し、籾がらは100%田に還す。そして、その土地に合わせた土づくりを行う。
水温や水位の管理にはアプリを活用。自然環境の変化にも即応する。
米作りに対する性根が違う。
そう。これが三つ目の特徴だ。
稲の「根」、おいしい安心の「根拠」、そして人の「性根」。
洞口さんの〈米想道〉とは「根」。取材を通して、私はそれを確信した。
今年の秋が、楽しみだ。
