遺言書 を書いてみよう
~ 弁護士が語る、相続相談のあれこれ ~
遺言書 の種類には、3種類ありますが、ご自身でも気軽に作成できるのが「自筆証書遺言」です。遺言書は、「愛する家族への最後のラブレター」です。以下の事項に注意して、まずは書いてみましょう。
◇ 自筆証書遺言の作成上の注意点
(1) 書式、用紙
法定の書式はありませんが、遺言書であることを明確にする為、標題を「遺言書」と記載すべきです。用紙も法定されておらず、便箋、罫紙など文字が書ければ何でもよいです。
(2) 筆記用具
筆記用具は、ボールペン、筆、万年筆のいずれでもよいです。ただ、鉛筆は消えやすいことや改ざんされやすいことから、避けるべきです。なお、すべて自筆によることを要します。ワープロ等で打った遺言やテープレコーダーによる遺言は、自筆証書遺言としては無効です。
(3) 作成日付
日付は、遺言成立時の遺言能力の有無や遺言の先後を確定する為に必要とされます。日付は、西暦でも元号でもよく、また、「還暦の日」「60歳の誕生日」のように作成日付が特定できればよいとされています
(4) 氏名
氏名の自書は、誰が遺言者であるかを明確にする為に必要です。戸籍上の氏名が理想的ですが、遺言者本人の同一性が認識できればよく、通称名、芸名、雅号、ペンネームでもよいとされています。また、例えば戸籍名「斎藤」を「斉藤」と自書しても有効です。
(5) 印
証書に押される印は、実印や認印(スタンプ式の印鑑は不可)のほか、拇印でもよいとされていますが、明確性の点から、なるべく拇印は避けましょう。
(6) 共同遺言の禁止
数人が共同で1通の遺言書によって遺言を行うことは禁止されています(民法975条)ので、夫婦でも、必ず各別に遺言書を作成してください。
(7) 遺言書の封入
自筆証書遺言書の作成後、これを封入することは法律上は不要です。が、家族に見られた場合、争いの種になる恐れがあります。封筒に入れ封印するのがよいでしょう。また、この封筒には「遺言書」という表題と自分の名前を記載しておくべきです。
このように、遺言書は、ご自身でも作成することができますが、複雑な内容になってくるとどのように記載したらよいのか迷われるかと思います。その場合には、弁護士などの専門家にご相談ください。
― 取材協力 ―
山本法律事務所
弁護士 山本 賢一 氏
http://www.yamamoto-lo.jp/
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