「エンディングノート」は子に書いてもらうべき理由
~ 心の相続 ~
もっと声を出そう。会話をしよう。そう話す板倉さんは、エンディングノートは子供に書いてもらうのが一番、と言います。なぜなのでしょう。詳しく伺ってきました。
人は声を出せば力が湧いてきます。例えば、「よっこらしょ」。これを意図的に発しないと、立ち上がる際などはどことなく腰が重く感じるものです。
人生も同じです。声は人の力を引き出します。ですから、何かを始めようとする際は、積極的に声を出すべきです。小さな子供が、新しいことでもどんどん取り組んでいける理由をご存知ですか。それは、子供はいつだって元気一杯に返事をするからです。「〇〇やってみたい人?」と聞かれたら、子供は元気よく「はい!」と手を挙げます。だから子供は何だってやり抜きます。
私は、私たち大人も、もっと口から言葉を出すべきだと思います。言霊の力を使うべきだと思うのです。特に家族間ではそうあるべきだと、私は日々感じています。
もし、親子間で十分な会話があり、未来に対して意思疎通ができていれば、相続トラブルなど起きません。ところが、今は核家族化の進行もあって、親子の会話は激減。お互いの考えはほとんど通じ合っていないのが現状です。
実際、あなたは親の何を知っていますか?子の何を知っていますか?好きな食べ物、好きな映画、好きな色、好きな時間の過ごし方。自信を持って答えられますか。ひょっとして、何十年も昔の情報が、今でも正しいと思い込んでいませんか。
そんな状況にも関わらず、子供のためにエンディングノートを書こうとする人が大勢います。私は、それは違うと思います。なぜなら、エンディングノートは自分の死後、子供を困らせないために書くものです。つまり、子供が知りたいことを残すものです。ところが、親は子のことを知らない。子も親のことを知らない。その関係性で、いったい何を書くのでしょう。
ですから、私はエンディングノートを子と一緒に書くことを勧めています。というより、子にインタビューしてもらい、子に書いてもらうことを推奨しています。子に書いてもらえば、子が知りたいことを網羅したエンディングノートになるはずですからね。
さて、いよいよ年末年始がやってきます。この時期は家族が集まる機会も多くなります。ぜひ言霊の力を信じて、もっと家族の絆を深めませんか。自分の気持ちに素直になれば、もっと人生も楽しくなるはずです。大丈夫。人は素直さがあれば、話は通じるものですから。
- 取材協力 -
NPO法人 シニアプラネット
代表理事
板倉 富男 氏
ホームページ:http://kura-e.com/index.html