遺言書にも落とし穴?遺留分放棄でスムーズな事業承継
遺言書には落とし穴があります。例えば、事業承継においては、遺言書だけでは後継者への円滑な承継が実現されないこともあります。そんなときに活用したい制度が、遺留分放棄です。遺留分放棄を活用すれば、ほぼ間違いなく、円滑な事業承継が可能です。
長野県千曲市出身の弁護士・村松さんにお話を伺ってきました。
▼目次
1.はじめに
2.財産の承継にはどのような方法があるのか
(ⅰ)株式譲渡については、
(ⅱ)遺言書を利用する場合
1.はじめに
私が所属する事務所は東京丸の内にありますが、長野県千曲市出身ということもあり、長野県内からも多数のご依頼を頂いており、週に1回のペースで長野に赴いています。
私の専門分野は「企業法務」です。企業法務とは、企業・事業主からのビジネス関連の法的問題に関するご相談に対応するもので、契約書・就業規則の作成・チェック、紛争対応、労働問題やM&Aといった業務が中心です。東京と地方の弁護士の違いは、弁護士としての技能です。東京などの都市部では、弁護士の良し悪しに目の肥えた企業が弁護士を選り分けることから、企業法務の分野では、能力、技術、知識ともに兼ね備えた弁護士だけが生き残り、そうでない弁護士は淘汰されます。私は、そうした厳しい環境で技能を培ってきた弁護士の一人であり、地方の弁護士とは次元の違うサービスをご提供します。
企業法務以外にも、「相続」に関してご依頼を頂くこともあり、もちろん、企業法務と同水準のサービスを提供させていただいています。
2.財産の承継にはどのような方法があるのか
最近は、中小企業の経営者の方から、後継者への事業の円滑な承継についてご相談いただくことも増えております。事業承継は、(ⅰ)オーナーが生前に株式を譲渡したり、(ⅱ)遺言書によって確実に特定の後継者に株式が相続されるように手当てするいった方法があります。
(ⅰ)の株式譲渡については、近年、事業承継に限定して、生前贈与に関する税金を減免する制度がスタートしました。私は、提携する中小企業診断士や税理士と共同して、この制度により税金の優遇を受けながら、円滑に事業承継を進めるサポートをさせていただいております。
(ⅱ)の遺言書を利用する場合、一つ落とし穴があります。遺言書で株式全部を特定の後継者に相続させようとしても、他の相続人が、法定相続分の半分(「遺留分」といいます。)については自分が相続すると主張できてしまうのです。例えば、会社経営者のAさんに相続人として2人の息子B・Cがいる場合、Aさんが100株を長男Bに相続させる遺言書を用意していても、次男Bがその相続分の半分(1/2×1/2=1/4)1/2=1/4に当たる25株は自分が相続すると主張することができ、結果として、株式全部を長男Bに承継させることができなくなります。そこで、私は、生前であっても後継者以外の相続人(前述の例では次男C)が遺留分を放棄する制度を活用しています。他の相続人に遺留分を放棄させれば、遺言書どおりに遺産を相続させることができるからです。ただ、遺留分の放棄には家庭裁判所への申し立てが必要となり、裁判所はその相続人が放棄の見返りになる利益を得ているかどうか(「代償性」といいます。)をチェックします。私にはこれをクリアしてきた実績とノウハウがありますので、狙いどおりに遺留分放棄を進めることができます。
事務所は東京丸の内にありますが、東京で培った弁護士の技能・サービスを故郷長野でも提供するべく、週1回のペースで長野に赴いていますので、まずはお気軽に郷相談ください。
- 取材協力 -
祝田法律事務所
弁護士
村松 頼信 氏
ホームページ:http://www.iwaidalaw.com/