◇ どんな場合に遺言書を書くべきか。
遺言書というと一般の方にとって敷居の高いイメージがあるため、いまだ浸透していません。一方、最近では気軽に作成できるエンディングノートを作られている方もいらっしゃいます。しかし、エンディングノートの記載だけでは法的に効力は無く、かえってトラブルの原因になることさえあります。以下に該当される場合には、法的に有効な遺言書を作成することをお勧めします。
◇ 子供がいない場合
あなたに子供がいなければ、あなたの配偶者と、あなたの両親や兄弟が相続人となります。交流関係の薄い親族同士が遺産分割について協議を行う場合、スムーズに進まないことが多く、その結果、預貯金の引き出し等ができなくなり生活に支障をきたす可能性があります。一方、遺言書があれば、遺産分割協議を行う必要がありませんので、スムーズに財産を承継することができます。
◇ 内縁の配偶者など、相続人以外に財産を残したい場合
あなたに長年寄り添ってきた相手(内縁の配偶者)がいても、法的な婚姻関係にない場合、相続する権利は一切ありません。あなたの両親や兄弟、甥姪が優先して相続することになります。特別縁故者という制度もありますが、この制度で内縁の配偶者が遺産を取得できるかどうかは不確実です。内縁の配偶者に、法律上の夫・妻と同じように相続させたいなら、必ず遺言書を書く必要があります。また、あなたが長年お世話になった人など、相続人以外で遺産を受け取ってもらいたい人がいる場合にも、遺言書を作成しなければ実現不可能です。
◇ 相続人のうち一人が親の介護をしている場合
すでに相続人同士の仲が悪い場合には、あなたが亡くなった後に遺産をめぐるトラブルが起こる可能性高いと言えます。また、現在は相続人同士の仲が良くても、将来、円満に遺産分割できるとは限りません。現実に、親の死後に子ども同士で「自分は介護をしたのに、兄は何もしていない」などとして争いになることも多々あります。
◇ 相続トラブルを回避する遺言書作成は相続の専門家へ
この他に「離婚した先妻との間に子どもがいる場合」や「相続人がいない場合」にも、遺言書を作成していなかったために相続トラブルが発生してしまった事例が数多く存在します。相続トラブルを回避するためにも遺言書作成の詳細については、司法書士などの相続・遺言の専門家にお尋ねください。
- 取材協力 -
中日本司法書士事務所
司法書士 横井 和雄 氏
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