介護施設と新しい生活様式
~ 介護のささえ ~
長期間にわたって感染拡大を防ぐための対策を、これまで以上に日常生活に定着させ、持続させるための「新しい生活様式」。介護の現場ではどのように実践されているのでしょう。
「新しい生活様式」の実践例には、「ソーシャルディスタンス」「三密回避」などがありますが、デイサービスの場合、利用者1人当たり3㎡以上の確保が法律により定めれれています(弊社では1人当たり3.3㎡で設計)。つまり、定員10名のデイサービスであれば最低30㎡が必要で、言い換えれば20畳程度の中に10人の利用者と介護職員がいる計算になります。
しかし、新しい生活様式を実践しようとして、例えば利用者様同士2mあければ、1人当たり約12㎡が必要となります。そのため、定員10名のデイサービスでは、1日当たり2.5人の利用者(従来の1/4)しか受け入れることができなくなります。
デイサービスの供給ストップは、利用者の身体機能低下、家族の介護負担増などの弊害を生みます。また、介護する際は、介護者(スタッフ)は要介護者(利用者)の体に直接触れます。したがって、デイサービスにおいては、三密回避、ソーシャルディスタンスは、現実的に実践が困難な状況です。
とはいえ、何もできないわけではありません。弊社では、国内で最初の感染者が報告された1月17日に「長野県内で感染者が確認されるのも時間の問題」と判断、早々に利用者様とご家族様に通知を出し「うつらない、うつさない、持ち込まない、持ち込ませない」を合言葉に感染予防に努めてまいりました。
面会の制限や、禁止。スタッフへの行動制限の要請や、利用者様・ご家族様への動向調査の協力依頼。万が一感染者が出たことを想定し、隔離の方法をシュミレーションしたり、何度も会議を重ねたり。スタッフのみならず、ご利用者様、ご家族様にもご協力いただき、幸い感染者0を維持することができました。
新しい生活様式を100%実践しても、感染リスクは0%になりません。それでも、すべきことはすべきでしょうし、かといって、できないことはできません。私たちはただ、できることをするだけです。
それを踏まえ、弊社は今後、地域に根差す介護施設として、どのように対策を講じ、どのように予防していくかを、ご利用者様、ご家族様のみならず、社会全体に周知していきたいと考えています。
人事を尽くして天命を待つ。
世の中にはどうにもできないことがあります。時には運を天に任せるゆとりを持ちつつ、なすべきことをしっかり果たしていこうと思います。
- 取材協力 -
株式会社 想礼優(ソレイユ)
代表取締役
小林 匡善 氏
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