【弁護士が解説】教育資金一括贈与を利用した相続税 節税対策

  1. 相続

【弁護士が解説】教育資金一括贈与 を利用した相続税の節税対策

相続における節税対策となる「教育資金一括贈与制度」。しかし、その教育資金一括贈与制度にも、メリット・デメリットがあります。山本法律事務所の山本弁護士に解説をお願いしてきました。

▼目次
1.はじめに
2.教育資金一括贈与とは
3.教育資金一括贈与のメリット
4.教育資金一括贈与のデメリット
5.さいごに

1.はじめに

平成25年4月の創設以来、利用者が年々増加している教育資金一括贈与制度。背景の一つには、相続増税の影響があると見られています。これまでも、必要な都度に教育資金を贈与した場合は非課税ですが、この制度は大きな金額をまとめて贈与できるとあって関心度が高いようです。
 

2.教育資金一括贈与とは

教育資金一括贈与とは、祖父母等から30歳未満の「孫・子・ひ孫」への教育資金の贈与について、それぞれ1,500万円を限度として贈与税が非課税になる特例です。「1,500万円×子や孫の数」が非課税となりますので、例えば孫3人に教育資金一括贈与を行ったとすると最大で4,500万円もの財産を一括で非課税とすることができます。この特例を使わなくても、そもそも子や孫の教育費用をその都度祖父母や親が支払うのは非課税ですが、この特例は「一括」で贈与できる点にその特徴があります。ちなみに、教育資金一括贈与を行った場合でも、毎年110万円の非課税贈与を併用することができます。
 

3.教育資金一括贈与のメリット

①贈与時に贈与税がかからない
通常1,500万円の暦年贈与だと470万円の贈与税がかかりますが、教育資金の一括贈与制度では贈与時に贈与税はかかりません。
②使い切れば贈与税はかからない
贈与された子や孫が30歳になるまでに教育資金として使い切れば、贈与税はかかりません。
③元気なうちに一括贈与できる
高齢の方や認知症の不安がある人は、毎年コツコツと暦年贈与をしていくには限界がありますが、この制度を利用すれば元気なうちに一括で贈与ができます。
 

4.教育資金一括贈与のデメリット

①制度が期間限定である
期間が平成31年3月31日までに限られています。
②手続きが面倒である
この制度を利用するには信託銀行等にいったんお金を預けなくてはならないのですが、その信託銀行等からお金を引き出すためには教育資金として使用したお金の領収書等を整理して提出する必要があります。
③一括贈与なので孫の喜ぶ顔も一度だけ
孫は喜んでくれたけれども最初だけ。それなら教育資金が必要な都度贈与して何度も喜ぶ顔が見られた方がよかったということもあります。
 

5.さいごに

教育資金一括贈与には、以上のようなメリット・デメリットがあります。この制度を利用する際には、メリット・デメリットを十分に理解してから利用するようにしてください。教育資金一括贈与の使途は「教育資金」に限定されており、どの範囲の支払いが「教育資金」に含まれるか不明確な部分もあります。そこで、次回は教育資金一括贈与の使途について解説をしたいと思います。

 
― 取材協力 ―
山本法律事務所
長野県松本市島立798-1 YSビル102
弁護士 山本 賢一 氏
http://www.yamamoto-lo.jp/

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