宿(ホテル・旅館)の今と昔を比較しよう

  1. 今・昔

【宿の今昔】
昔の旅館やホテルは、どんなものだったのだろう

日本では、昔は宿は無料でした。鎌倉時代になっても「宿代」という概念はありませんでした。宿泊料がキチンと請求されるようになったのは、安土桃山時代の「きちん」が始まりです。日本の宿の今昔。宿泊がどのように変化してきたのか、今と昔を比べてみました。
 

旅館やホテル、宿泊のスタイルについて
今と昔を比較しよう

▼目次
1.宿の始まりは駅
2.宿は無料だった
3.キチンが始まり
4.心の宿

 
宿

1.宿の始まりは駅

日本の宿の起源は「駅」です。古事記や日本書紀によれば、要地には「駅舎」という宿泊施設が設けられていたそうです。しかし、そこを利用できたのは政府要人のみでした。庶民が利用できたのは、平安時代、仏教徒が一般旅行者の病人や飢餓者に慈悲を施すために造った「布施屋」だけでした。
 

2.宿は無料だった

鎌倉時代に入ると、宿の歴史は急速に進展します。源頼朝が宿奉行を設け、全国の宿の統制と管理を試みたり、室町時代には、幕府が「宿屋」として指定公認する「兜屋」が登場します(公認を受けた宿屋は玄関に兜を掲げたため、「兜屋」と呼ばれました)。しかし、その時代でも「宿料」は存在せず、宿泊者は礼儀としてチップを支払うだけでした。
 

3.キチンが始まり

宿が正式にお金を請求するようになったのは、安土桃山時代に広まった木賃宿(きちんやど)からです。ただ、その時の名目もまだ宿泊費ではありませんでした。「木賃」といって、お湯を沸かすための木(薪)の代金でした。「宿料」として旅人が支払うようになったのは、江戸時代に入ってからです。食事を提供する宿泊施設「旅籠(はたご)」が普及し始め、ようやく日本に「宿代」という概念が誕生したのです。
 

4.心の宿

古代から近代にかけては、多くの人が自宅に旅人を泊めてあげたそうです。しかし、今はこんな時代です。知らない人を自宅に泊めることなど、もってのほかです。
ただ、逆に今がこんな時代だからこそ、心の宿を求めている人は多いはずです。人生にちょっと疲れた。そんな人を見かけたら、声をかけてあげませんか。私たちは皆、人生の旅人です。と同時に、私たちは皆、心の宿の主なのですから。

本、出しました。

当サイトで最も高い閲覧数を誇る「今昔」。
それをさらに掘り下げ、書き下ろしました。

今すぐチェック

関連記事

お水 の今と昔を比較しよう

水で戦争が起きる。それが知識人の見解です。20世紀は「石油」で紛争が起きた時代でしたが、21世紀は「お水」で戦争が起きるかもしれない、と言うのです。確かに……と思いません…

お伽話 の今と昔を比較しよう

昔の「桃太郎」は桃から生まれません。一方、最近の「桃太郎」には家来は一匹もいません。今、お伽話の世界に異変が起きています。どれほど大きな異変が起きているのでしょう。お伽話…

写真 の今と昔を比較しよう

なぜ昔の写真に写っている人は、気難しい顔をしているのか知っていますか。そもそも、昔は食事会や飲み会で写真を撮ることなどもっての他だったようなのですが、なぜだかご存知ですか…

モノの名前 の今と昔を比較しよう

モノの名前 は時代によってコロコロ変わります。昔の呼称では通用しなくなった名前は数え切れません。ですから、要するにソレを何と呼ぶかによって年が明らかになるわけなのですが……

「リーダー像」の今と昔を比較しよう

その実行力により倒産寸前まで追い込まれたが、見事にV字回復を果たした素晴らしきリーダー。かのジョン・F・ケネディ大統領が最も尊敬した日本人とも言われています。その日本人と…

「たまご」の今と昔を比較しよう

今では、当たり前のように食卓に並ぶ卵。しかし、卵の歴史を振り返ってみると、昔は身近な食材ではなかったことが分かります。では、どのように移り変わってきたのか。平安時代から江…