【弁護士が解説】熟年離婚を避けるための「卒婚」とは

  1. 相続

【弁護士が解説】熟年離婚を避けるための「卒婚」とは

最近、都心部で見かけるようになった新しいライフスタイル「卒婚」には、熟年離婚を防ぐ目的があるそうです。卒婚とは。山本法律事務所の山本弁護士に、新しい夫婦のかたち「卒婚」についてお話を伺ってきました。

▼目次
1.新しい生活スタイル「卒婚」とは
2.お互いの人生を尊重する「卒婚」

卒婚

1.新しい生活スタイル「卒婚」とは

「卒婚」とは、子どもが独立し、定年を迎えた熟年夫婦がお互いを尊重し合い、婚姻関係を持続したまま同居にこだわることなく自由に生活していくライフスタイルです。一般的な別居と大きく異なる点は、夫婦の絆や信頼関係が崩れていないというところです。通常、別居に至る夫婦の場合、どちらか一方が相手に対して大きな不満があったり、信頼できなくなってしまったりして、離婚を前提にしている夫婦がほとんどです。子どもが独立し、夫も定年退職を迎えると、当たり前ですが夫婦二人で過ごす時間が増えます。それ以前は、妻は昼間の時間を家事や育児のほか、友達との付き合いや自分の趣味の時間などに使い、自分の生活ペースが確立している人がほとんどです。そこに定年後の夫が加わることで、大きなストレスを抱えてしまうのです。一緒に過ごす時間が急に増えることで、お互い何かを我慢することが多くなり、大きな喧嘩になった挙句、離婚に至ってしまう熟年夫婦も少なくありません。
 

2.お互いの人生を尊重する「卒婚」

これに対して、「卒婚」は、別々の場所に住んでいても、時間が合えば一緒に食事をしたり、買い物に出かけたりもするし、お互いを思いやる気持ちは婚姻生活をしているときと変わりありません。しかし、「卒婚」という新しいライフスタイルを実現するためには、夫婦お互いが納得し合えることと、子ども達にも、自分たち夫婦が人生を楽しむために選んだ前向きなライフスタイルだということを理解してもらうことが大切です。今まで共有してきたたくさんの思い出を、これからも一緒に語り合えるのは夫婦しかいないはずです。完全に相手のことを嫌いになって離婚する前に、「卒婚」について夫婦で一度話し合ってみてはいかがでしょうか?
 
このように「卒婚」という新しいラフスタイルを選択される夫婦がいる一方、夫婦間のすれ違いが大きく離婚を選択しなければならない夫婦も多く存在するのが実情です。熟年夫婦の場合、夫婦で過ごしてきた期間の長さに比例して、夫婦の共有財産も大きくなることから熟年夫婦特有の問題が生じることがあります。そこで次回は、熟年離婚にまつわる法律問題・手続についてお話ししたいと思います。

 
― 取材協力 ―
山本法律事務所
弁護士 山本 賢一 氏
http://www.yamamoto-lo.jp/

本、出しました。

当サイトで最も高い閲覧数を誇る「今昔」。
それをさらに掘り下げ、書き下ろしました。

今すぐチェック

関連記事

【弁護士が解説】生前贈与で相続税対策

平成27年に相続税が改正され、今まで無縁だと思っていた方にも相続税の支払い義務が発生し始めています。相続税対策について、山本法律事務所の山本弁護士にお話を伺ってきました。…

エンディングノートの在り方

エンディングノートの在り方 は「生き方ノート」である事と思っています。何故なら、「死に方」は所詮、「生き方」の一部だからです。ですから、楽しくなることをどんどん書いていき…

遺言書 を書いてみよう

遺言書 と聞くと、後ろ向きな考えを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、実は「愛する家族への最後のラブレター」との考え方もできます。とはいえ、遺言書には、3種類ありま…