これからの健康 〜 相澤病院 相澤理事長へのインタビュー 〜

これからの健康 ~ 相澤病院 相澤理事長へのインタビュー ~

これからの健康 と、病院の在り方について。
人生は健康であってこそ。しかし、いざ「健康のために何をしたらいいのか」と訊かれれば、なかなか答えられないものです。そこで今回は「健康のために私たち市民は何をするべきなのか」、松本市にある慈泉会 相澤病院の理事長・院長 相澤孝夫先生にお話を伺ってきました。

これからの健康

社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院
理事長・院長
相澤孝夫


— — 超高齢社会を迎え、医療において重要になってくることは何でしょうか。
一昔前の医療は「命を救う」ことばかりが注目を浴びていました。当然かもしれません。当時の日本は、働き盛りの年齢層が最も多くを占めていました。彼らは悪い所が治れば、すぐに生活の場に戻れました。しかし、今は高齢化が進み、医療を必要とする年齢層は上がっています。年齢が上がれば、もちろん体は弱くなります。生活機能も落ちやすくなります。ですから、悪い所を治した後、低下した生活機能などを回復させたりする必要性が強まってきます。つまり、超高齢社会を迎え、病院は「病気以外でのかかわり」が重要になってきているのです。
 
— — 病院が「病気以外のかかわり」も重視するのですか?
私は患者さんを生活の場に戻すことも、医療の重要な役割だと考えています。命を救うのはもちろん、どうしたら生活の場にスムーズに戻れるか。そうした「病気以外でのかかわり」は、これからの健康のキーワードになってくると思います。しかし、病院にはそれぞれの役割があります。例えば、相澤病院は主に「命を救う」治療の場です。一方、 年初めに開院した相澤東病院は、「生活の場に戻す」ことを目的とした病院なので、病気以外でのかかわりにも充分に対応できます。さらに、地域の開業医もまた、患者さんと病気以外でのかかわりを持つ医師です。彼らは家庭事情や生活環境を理解した上で診察します。そのため、皆さんのちょっとした変化にも気づき、充分に相談に乗ってくれることでしょう。
 
— — かかりつけ医との関係も、重要になってきそうですね。
「かかりつけ医」を見つけることは、とても大切です。現在の医療は、かかりつけ医を起点とすることを想定しています。かかりつけ医がまず診察し、患者さんの状態を把握。その上で、より専門的で高度な医療が必要となれば、相澤病院などの大病院へ紹介、そこで集中的に治療します。そして、病院での治療を終えた患者さんは、かかりつけ医の元へと戻ります。治療を終えても生活の場に直接戻れない患者さんは、生活の場に戻るための病床に入院し、生活の場に戻れる状況を整えてから、かかりつけ医の元へ戻ります。これが今、国や私たちが進めようとしている医療体制「病院の機能分化」、つまり病院の役割分担です。

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— — 病院の役割分担は、一般に周知されているのでしょうか。
知らない人が大多数でしょう。こうした医療体制に関する情報発信は、充分とは言いがたいのが現状です。そして、情報不足が(わかりやすいところで言うと「初診料」について)多くの方に誤解を与える原因となっています。年春、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担」が導入されました。かかりつけ医に診てもらわず、いきなり大病院の診察を受けると、初診料とは別に患者さんは一定の金額の負担が義務づけられたのです。お金で対策する手法については賛否両論あると思いますが(私は個人的には反対です)、そのような制度が導入されたのは、「超高齢社会に適した医療を提供してほしい」「病院の機能分化を促進し、かかりつけ医から始まる医療体制を整えてほしい」、そんな国の切実な願いがあるからです。
 
— — 自分たちの健康のために、もっと医療や病院について知る必要がありそうですね。
私もそう思います。皆さんはご自身の健康のために、もっと病院や医療体制について知るべきです。そして、もっと上手に病院を利用すべきです。「利用する」でいいと思います。同時に、病院は医療についてもっと知ってもらう努力をすべきでしょう。本来なら、それは行政の役目かもしれません。しかし、それだけでは明らかに不足するので、やはり病院も情報を発信するべきです。いまの医療には、機能分化も、そこで提供すべきサービスも、まだまだ不足しています。が、いま最も不足しているのは「情報」でしょう。少なくとも、私は医療に対する情報発信が本当に足りないと感じています。健康は、知ることから始まります。ですから、繰り返しになりますが、皆さんはご自身の健康のために、是非それぞれの病院の役割や医療体制を知り、健康に暮らしていただきたいと思います。
 
— — 最後に、相澤先生の「これからの健康」に対する想いをお聞かせください。
病院が役割分担をしっかり果たし、患者さんが今の状態にふさわしい場所で、最適な治療を受けられる。それが、これからの医療体制では理想的だと言われています。そして、私もそう思っていますから、私たち相澤病院は、かかりつけ医である開業医の皆さんとの連携を密にしています。また、地域医療のモデルケースになればと、「命を救う治療の場」である相澤病院の隣に、「生活の場に戻す」相澤東病院を開院しました。さらに、陽子線治療など最先端医療を導入し、より多くの方に役立つ病院を目指しています。
「相澤病院があるから安心だ」。地域の方にそう思ってもらえるように。そして、地域の方が安心して暮らせるように。私たちは常に地域の「これからの健康」について職員全員で考え、実践してまいります。

 
平成28年12月号 掲載

 
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