糖尿病 について【健康があいことばvol.03】

糖尿病 について【健康があいことばvol.03】

〜侮ると怖い 糖尿病 〜
 
世界の糖尿病人口、四億人超。無症状のうちに進行し、重篤な合併症を引き起こす糖尿病。そこで今回は「侮ると怖い糖尿病」について、糖尿病専門医の山内医師にお話を伺いました。

糖尿病 専門医の山内医師

相澤病院 糖尿病センター長
山内恵史

◇ 糖尿病は日本人の天敵

糖尿病は血糖を下げるインスリンが充分に働かず、高血糖状態が続く病気です。初期症状はほとんどなく、食欲もあるため多くの方が放置しがちです。しかし、糖尿病は症状が出てからでは治療がとても大変になります。極端に怖がる必要はありませんが、決して侮ってはいけません。特に血糖値が高い方、糖尿病予備軍の方は、「自分は大丈夫」という慢心は危険です。糖尿病は大きく四つに分類されています。「1型糖尿病」「2型糖尿病」「遺伝子の異常や他の病気が原因となるもの」「妊婦糖尿病」です。その中でも、糖尿病患者の大多数は「1型」と「2型」です。1型はインスリン分泌量が著しく低下ないし枯渇する病気で、生活習慣とは関係なく、若年者や子供にも起こりえます。一方、2型は生活習慣が関与する病気です。日本の糖尿病患者の9割以上が、この「2型糖尿病」です。1型も2型も、糖尿病の家族歴がある人は、ない人に比べて発症率は上がります。しかし、糖尿病そのものは遺伝しません。「糖尿病になりやすい体質」が遺伝するだけです。もっとも、日本人は体質的に、インスリンの分泌量が低下しやすいようです。少しの生活習慣の乱れで糖尿病にかかりやすい傾向にあります。くれぐれも注意が必要です。
 

◇ 恐ろしい合併症

糖尿病で恐ろしいのは合併症です。動脈硬化はその一つで、糖尿病予備軍も含めれば、脳卒中や心筋梗塞の発生率は非常に高まります。また、糖尿病の三大合併症「網膜症」「腎症」「神経障害」も深刻です。全国で年間3,000人が糖尿病による網膜症で光を失っており、10,000人が人工透析の開始を余儀なくされ、多くの人が足潰瘍(足が腐ってしまう病気)などの神経障害に苦しんでいます。さらに近年、「新たな合併症が明らかになってきました。その中でも「認知症」と「がん」の関係は特に注目されています。糖尿病患者の認知症リスクは2~4倍、2型糖尿病患者のがん発症危険率に関しては、肝臓は2.5倍、すい臓は1.8倍、子宮体部は2.1倍、大腸は1.3倍にまで高まることが判明したからです。
 

◇ 糖尿病と介護関係

両手の親指と人差し指で、ふくらはぎの最も太い部分が囲める場合は、サルコペニアの危険があります。サルコペニアは、筋肉量と筋肉機能の両方の低下が見られる症候群のことです。糖尿病の合併症であり、糖尿病の原因にもなりえます。サルコペニアは「フレイル(虚弱状態)」に陥る要因となります。多くの高齢者が、このフレイルの段階を経て要介護状態になるため、いま、糖尿病は介護者からも関心を集めています。
 

◇ 大切なのは血糖コントロール

昔の「血糖値は低ければ低い方が良い」との認識は誤りです。高齢者における痩せ過ぎ(栄養不足)は危険ですし、低血糖は認知症発症リスクを高めます。高すぎず低すぎず。重要なのは自分の血糖目標値を知り、血糖コントロールをすることです。
当院では、血糖コントロールの感覚を掴んでもらうため教育入院も実施しています。関心のある方はお気軽にご連絡ください。

糖尿病 _血糖コントロール

◇ こんな場合は病院へ

「喉が異常に渇く」「毎日4ℓ以上水分をとる」「日中、特に夜間にトイレに行く回数が多い」「短期間で急激に痩せた」「膝から下の傷に気づかない。傷が化膿することが多い」「眼鏡を矯正しても視力が良くならない」
もしこれらに当てはまるようなら、糖尿病の可能性があります。早めに受診しましょう。糖尿病治療は、無症状のうちに開始すべきです。症状が出てからでは、その合併症に注意しつつ、血糖だけでなく総合的に治療する必要が生じるからです。また、状況によっては、早期に薬物治療を開始することもあります。時折、薬物治療(特にインスリン治療)を先延ばししたがる方がいます。しかし、高血糖状態を放置していると、急速に合併症が進みます。医師によく相談しましょう。
 

◇ 平均寿命に 健康寿命を近づけよう

長野県の平均寿命は、男女ともに1位です。が、健康寿命は、男性6位、女性は17位です。
この差の開きに、少なくとも糖尿病は関係しています。
そこで相澤病院では、様々な形で糖尿病療養支援や予防支援を行っています。地域連携の強化はその一つです。かかりつけ医との2人主治医制を導入し、患者が安心して継続診療できる、患者中心の地域密着型医療連携を実現しています。また、全患者を対象に血糖スクリーニングを実施し、糖尿病の早期発見に努める一方、糖尿病予防に役立てていただくため、毎年全6回の糖尿病教室(参加無料)を開催しています。
糖尿病治療は年々進歩していますが、「生活習慣全般の改善」「糖尿病の放置・治療の中断防止」が重要なのは変わりません。現在予防や治療に取り組んでいる方は、その継続を。途中でやめてしまっている方は、再開を。何もしないことは健康寿命を短くしかねません。生活習慣の見直しや改善の努力など、たとえ少しずつでも取り組むことが大切です。糖尿病から身を守り、健康寿命を延ばしましょう。

 
■相澤病院 糖尿病センターとは■
http://www.ai-hosp.or.jp/shinryo/b_center_7.html
生活習慣病の一つである糖尿病の専門的治療をおこなう部門。医師を中信に看護し、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士、理学療法士らの専門スタッフが一丸となり、病状に合わせた治療を行っている。
 
相澤病院のサイトはこちら
http://www.ai-hosp.or.jp

 
ライター:上田雅也
※この記事は、コンパス第8号(平成28年3月31日発刊)に掲載されたものです。

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