夏を旨 とする家づくり【現代は冬を旨とする家づくり】

  1. 住まい

夏を旨 とする家づくり

~ 現代は冬を旨とする家づくり ~
 
夏を旨 とする家づくりとは、家は夏のことを考えて設計しよう、という考え方です。今から約700年前に活躍した歌人・随筆家が提唱しました。しかし、夏を旨とする家づくりは、今でも通用するのでしょうか。現代の住宅事情と照らし合わせて考察してみました。
 
夏を旨 とすべきか

◇ 夏を旨 とする家づくりは古い?

日本三大随筆の一つ「徒然草」。その第55段で、吉田兼好はこう記しています。
「家の作りやうは、夏をむねとすべし」
一言で言えば「家づくりの基本は夏対策」というわけですが、当時(鎌倉時代)は食中毒や熱中症などの懸念から、気温や湿度、衛生対策が住まいにおける最重要課題でした。しかし、それから約700年。冷蔵庫やエアコンが普及し、生活の環境は一変しました。それでもやはり、日本の家づくりは「夏を旨とすべし」なのでしょうか。

 

◇ 冬の突然死「ヒートショック」

急激な温度変化により、心筋梗塞や脳梗塞を起こしたり、浴室での溺死の原因となる「ヒートショック」。初耳かもしれませんが、これはとても危険で、身近に起こりえる現象です。
例えば、小・中学生は、気温30度で水温20度のプールに入る際、心臓発作等を防ぐため必ず準備運動をやります。では、冬場の入浴時に私たちはどうでしょう。
例えば居間が20度で浴室が8度(温度差12度)でも、入浴時に準備運動はしないでしょう。これが危険じゃないはずもなく、実際このヒートショックによる浴室での死亡者数は、交通事故死亡者数の約六倍にも上ります(一般社団法人 日本エネルギーパス協会しらべ)。

 

◇ 冬を旨とする家づくり

確かに、大正時代以前は、夏に亡くなる方が最も多かったそうです。しかし昭和に入ると、圧倒的に冬に亡くなる方の割合が増えました。そういう時代になったのです。
ところで、兼好法師はこんな言葉も残しています。「天井の高きは、冬寒く、燈暗し」。要は「天井は低いに限る」ということですが、こちらはあまり取り上げられません。都合が悪いからでしょう。
私たちは先人の知恵に支えられて生きています。しかし、それらを取捨選択しているのも事実です。現代では、冬に死亡者数が増えるのです。だからこそ、「冬を旨とする家づくり」を真剣に考えてみてはいかがでしょうか。

 
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